AEDの特徴
複数AED設置の必要性
AEDが身近にない場合

沖重 薫

横浜市立みなと赤十字病院
心臓病センター長
<専門>
臨床不整脈、心臓性突然死、
特発性心筋症、
カテーテル・アブレーション手術

横浜市立みなと赤十字病院

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神奈川県横浜市中区新山下3丁目12番1号
TEL:045-628-6100(代表)
FAX:045-628-6101


 AEDは、心臓性突然死に繋がる心室細動を治療する唯一の手段です。AEDは医学教育をまったく受けていない素人にも使用できるように開発されております。AEDと患者を結ぶには、「電極パッチ」と呼ばれるワッペン状のシールを体表面に貼付します。AEDはこのパッチを通してコンピューターが心臓の状況を把握し、電気ショックを通電します。

AEDの特徴

・心電図を判読する能力や医学的知識をまったく必要としない
・電気ショック治療をすべき不整脈か否かを音声で教えてくれる。
・電気ショック治療対象以外の不整脈に対しては作動しない。
・小型軽量なので、迅速に持ち運びできる。
・内蔵コンピューターによる自動点検機能を有し、メンテナンスが不要。
・バッテリーで作動し、寿命は平均5年程度。
・データを内蔵保存し、後で再生して検討できる。

 難治性の心室細動の場合、AEDによる電気ショックを速やかに行っても、なかなか停止しない事があります。ですが、1回の電気ショックが不成功だからといって決して諦めることなく、何回も何回も電気ショックを繰り返すことが大切です。AEDは次の治療までに充電時間が必要ですので、その間は心臓マッサージなどの心肺蘇生術を行いながら生命維持に努め、充電が終わるや否や再び電気ショック治療を施すことです。

 突然の心室細動に対応するには、AEDの設置場所が十分検討されなければなりません。例えば、学校やスポーツ施設など心臓事故が起こる可能性のある場所の近くに設置することが大切です。難治性心室細動が起こった場合のことを考えると、複数のAED設置も検討課題と考えます。

 心停止患者が発生したのにAEDが身近にない、もしくはAEDがあっても治療に成功しない。このような場合は、救急隊が駆け付けるまで、ひたすら心臓マッサージを行い全身への血液供給を補佐するしかありません。さらに、口対口の人工呼吸も同時に施すことも推奨されます。

 一般的に、心室細動発症後に電気ショック治療などの蘇生処置がなされない場合、1分経過するごとに、救命率が10%ずつ低下するとされています。10分以上経過すると、救命率は3%以下で、ほぼ回復は期待できないとされています。仮に10分以上経過してから蘇生が成功しても、その間、心臓マッサージなどで脳血流が最低限確保されていない限り、重篤な脳機能障害を残すことになります。


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是非ご一読ください。

突然死の話
あなたの心臓に潜む危機
(中公新書)
沖重 薫著


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