カテーテルアブレーション
治療とは
カテーテルアブレーション
治療の流れ
心臓性突然死に対するカテーテルアブレーション治療
心房細動に関するカテーテル
アブレーション治療
カテーテルアブレーション
治療に関する最新技術

沖重 薫

横浜市立みなと赤十字病院
心臓病センター長
<専門>
臨床不整脈、心臓性突然死、
特発性心筋症、
カテーテル・アブレーション手術

横浜市立みなと赤十字病院

〒231-8682
神奈川県横浜市中区新山下3丁目12番1号
TEL:045-628-6100(代表)
FAX:045-628-6101


 カテーテルと呼ばれる器具にはいろいろな種類があります。カテーテルは一般的に細長い管状のものを指します。この治療に使用するものは「電極カテーテル」と言い、先端にはセンサーが付いております。静脈や動脈を介して心臓までカテーテルの先端を挿入し、心臓内部の微小な電気的興奮をコンピューターを用いて調査したり、先端から電気刺激を流すことによって治療対象の不整脈を誘発したりします。

 この検査により不整脈の診断や、重症度評価、心臓のどの部位に異常がありどのような機序で起きているのかなどの情報が得られ、個々の患者様において最も良い治療方を明らかにすることが出来ます。この検査を心臓電気生理学的検査と言います。

 カテーテルアブレーション治療(経皮的カテーテル心筋焼灼術)とは、頻脈性の不整脈(WPW症候群、房室結節回帰性頻拍、心房頻拍、心房粗動、心房細動、心室性期外収縮、心室頻拍など)に対し行われる非薬物治療法で、頻脈性の不整脈を根治する最先端治療です。

 電気生理学的検査で得た情報をもとに、電極カテーテルを心臓内の標的部位に挿入し、標的組織を3Dマッピングシステムなどを駆使して同定してカテーテル先端を留置し、そこから「高周波エネルギー」を通電して、標的部位を熱で焼灼してしまう治療法です。不整脈起源組織を永久に挫滅することで、不整脈は薬剤の投与なくして根治してしまいます。治療効果は通常永続的です。早期社会復帰も可能で、運動や食事の制限もありませんので、QOLの向上が期待できます。心機能改善や血栓塞栓症の予防にもつながります。

 手術の成功率、危険性、所要時間、合併症の危険などは不整脈の種類によって異なります。治療終了後も一定時間は安静にしておく必要があり、短期の入院が必要です。

 心臓電気生理学的検査検査ではまず、各患者の「刺激伝導系」の性質を調べます。心臓各部位の不応期の長さや、房室結節の伝導性などを調べます。「洞結節」が安定して、規則正しく、必要に応じて心臓を動かす興奮ができているのかも調べます。

 次に、不整脈を誘発します。心臓のしかるべき部位(通常は、右心房、右心房と右心室の中間部位、右心室、肝静脈洞内の4ヶ所)に留置された電極カテーテルから電気刺激を与え、主にリエントリー性不整脈を誘発します。数秒間の短い間隔で刺激したり、ゆっくり等間隔で刺激したり、短い刺激を複数入れたり、いくつかの方法を組み合わせて、不整脈の誘発を試みます。これらの方法で誘発されない場合は、心臓を興奮させる薬剤を投与します。

 不整脈が誘発されてからは、その不整脈の機序解明というステップに入ります。同時記録した心臓全部位の微小電気現象をコンピューター解析画面に描写し、機序の解明します。この解析には高度な専門的知識と経験を要します。

 不整脈の機序が判明したところで、手術用のカテーテルを挿入し、先端センサーから得られるコンピューター・シグナルを解析します。先端が標的組織に位置しているというシグナルが得られたら、1mmたりとも動かないように先端を固定し、「高周波エネルギー」を通電して、標的組織を熱で挫滅します。

 心臓性突然死の原因のほとんどが心室細動であり、そこで鍵を握るのがリエントリー現象です。そして、そのリエントリー現象の引き金となるのが「期外収縮」という不整脈です。心室性期外収縮は、心室組織のごく狭い領域の病的組織から生じます。カテーテルアブレーション治療により、この心室性期外収縮の発生を完全に抑え込むことで、心臓性突然死予防に寄与します。

期外収縮とは?

 正常の電気刺激伝導とは別のところから興奮が発生し、その為に通常のリズムより早い時点で興奮したり脈が飛んだりして、規則正しい脈が乱れることをを期外収縮といいます。
 最も代表的な不整脈のひとつで、異所性興奮の発生場所により、上室性期外収縮、心室性期外収縮に大別されます。
 心室性期外収縮には、危険性が高く、さらに致命的な心室頻拍や心室細動に移行する原因となる場合があります。

 心臓性突然死とは直接関連しませんが、カテーテルアブレーション治療を行う最も多い疾患は、心房細動に対するカテーテルアブレーション治療です。

 以前は心房細動治療としてのカテーテルアブレーションは困難でしたが、近年になって、肺静脈付近からの異常興奮が心房細動を生じさせる引き金となっていることが研究で明らかとなりました。現在では、カテーテルアブレーションで肺静脈の周囲を焼灼する事により、この異常興奮を肺静脈から心房に出てこないようにして心房細動の発症を抑える治療が広く施行されております。これを肺静脈隔離術といいます。これにより心房細動の根治率は飛躍的に向上しました。

3Dマッピングシステム

 以前は、複雑な不整脈回路を同定するには、心臓内に挿入するカテーテルセンサーの数を何倍にも増やして、より広範囲な興奮シグナルを得ておりましたが、この方法による手術の結果はあまり芳しくありませんでした。

 近年では、ハイテク・コンピューターを使用した、カテーテルアブレーション治療のための3次元画像構築システムが開発され、あらかじめ記録したCTの画像とカテーテルを用いて作成したデータを融合させて、より現実の心臓解剖に即した三次元画像が提供されるようになりました。診断精度が飛躍的に向上し、現在では世界中に普及しております。

イリゲーションカテーテル

 最近開発され日本で臨床認可を得た、カテーテル内部に水を流す「水冷」機構を備えたアブレーションカテーテルです。

 このシステムの長所は、より深い部位へ高周波エネルギーが到達しうることや、心組織を焼く場合に懸念されている組織障害を軽減できる点です。組織障害が強いと、同部位に血栓が形成されやすくなり、術後の合併症として問題となります。

冷凍凝固システム

カテーテル先端をマイナス80度前後に冷却して、接触している心組織を冷凍壊死させるシステムです。


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